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日本獣医生命科学大学 獣医内科学教室 動物医療センター腎臓科
「I.採尿法の実際と注意点」参照
動物は睡眠中に水を摂取しないので、早朝尿は尿濃縮能(尿比重)の評価に優れる。しかし、早朝尿は夜間に数時間にわたり膀胱内に貯留しているため、一部の微生物 (例えば偏好性微生物、難培養微生物とも呼ぶ)の生存能力が低下し、尿培養の結果が偽陰性になる可能性がある。また長期間の蓄尿に伴い、尿pHや窒素性老廃物の影 響を長時間にわたって受けるため、細胞の変性が生じやすい。したがって、培養または 尿沈渣の評価が目的であれば、早朝尿よりも随時尿サンプルの方が優れる。
尿検査は尿を採取したら直ちに行うのが最も理想的である。多くの専門家が尿を採取して60分以内の検査を強く推奨している。
諸事情により60分以内に検査できない場合、尿を保存しなければならない。清潔で保存中に容器のその成分が溶出しないものであれば、容器はどのようなものでも構わない。洗剤や消毒剤などで洗浄した場合、成分
が容器に残留していると検査結果に影響を及ぼす恐れがあるため、十分に水洗する必 要がある。
一部の成書ではホウ酸、ホルマリンなどの保存剤の添加を推奨しているが 、尿の様々な成分の評価に影響する可能性があるため好ましくない。
最も信頼できる 尿の保存法は冷蔵である。厳密な研究は実施されていないが、多くの専門家が数時 間から一晩程度の冷蔵保存であれば尿の性状に影響しないと考えている。
冷蔵では 採取後の微生物の過剰増殖が阻止され、細胞や円柱の形態が保持される。また、検 査前に室温に戻しさえすれば化学的性状にも影響しないとされている。しかし、冷蔵に よりシュウ酸カルシウム二水和物、リン酸アンモマグネシウムなどの結晶が形成される ことは忘れてはならない。このようなアーティファクトは検査前にサンプルを室温に戻すことで回避できる。また、6時間以上冷蔵保存した尿で結晶が認められた場合、新鮮尿で改めて確認すべきである。
尿を室温で保存した場合に最も問題になるのが細菌数の増加である。 細菌数が1,000個/mLの尿を室温で放置すると、30分ごとに細菌数が倍増するという(図)。

(Carl A.Osborne, Jerry B.Stebens.宮本賢治訳(2003);犬と猫の尿検査診療指針 患者を思いやる診療をめざして、ファームプレス、東京より引用)
鎮痛剤、抗痙攣薬、利尿剤、ステロイド剤、輸液剤、抗高血圧薬、抗菌剤、造影剤、酸化剤およびアルカリ化剤はいずれも尿の化学的性状に影響する可能性がある。おのため、これらの薬剤を投与している動物では、結果の解釈に注意する必要がある。
生化学検査に干渉する可能性あり:
希釈尿の生成:
一部の利尿剤は尿pHを直接変化させる
生化学検査に干渉する可能性あり:
尿培養で偽隠性の結果が出ることがある
生化学検査に干渉する可能性あり:
結晶尿を引き起こすことがある
pHの変化によりほかの生化学検査(例:蛋白)および沈渣が影響されることがある
(高アルカリ尿では細胞および円柱が変性することがある)
治療薬が生化学検査を直接干渉することがある
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